国の場合、立法・司法・行政の三権が分立しているので、行政機関の公文書を『行政文書』といいます。

情報公開法の対象となるのは、公文書の中の『行政文書』です。

 

しかし、地方自治体には、三権分立がありません

しかも、条例制定権をもつという意味で立法を担う議会も、自治体の中のひとつの『実施機関』という位置づけです。

そうすると議会と行政(知事・各委員会等)を区別する意味がない ので、

各『実施機関』の保有する公文書は『公文書』といいます。

 

つまり、

情報公開法は、『行政文書』を対象とし、情報公開条例は、『公文書』を対象としています。

しかし、なぜか広島県では、『行政文書』としています。

(※行政が保有する公文書を『行政書』といい、『行政文書公開請求』といいますが、同じものとご理解ください。)


情報公開とは、『秘密にせず、誰でも知り得る状態におくことであって、『秘密にせず、誰にも知らしめること』ではありません。

 

求めた者には、誰に対してでも公開するが、求めない者に対してまで公開することはない ということです。

 

しかし、求められても公開できない場合があります。

例えば、住民に知られては困る情報(行政にとって不都合な情報)は、意図的にそのような状況にしておこうとするでしょう。

つまり、公文書をはじめから作成しない、作成していたが廃棄する等の方法が用いられるわけです。

 

このような恣意的操作を防ぐために、『公文書管理法』、『情報公開法』、『文書管理条例』、情報公開条例』があります。

 

いまや 『情報公開条例』は、全ての自治体にありますが、肝心の『公文書管理条例』は、そうではありません。

つまり、公文書が管理されていなければ、いくら公開請求しても公開されることはありません。

 

ここが問題なのです。



行政機関が保有する情報は、国民共有の財産です。

 

決して、お役所のものではありません。

 

しかし、お役所は、不都合な情報は公開したくないというのが本音ではないかと思います。

 

このことは、これからお役所が管理している国民共有の財産である「情報」を知ろうとして、具体的な行動(これを情報公開請求といいます。)を起こすとすぐ”壁”となって立ちはだかるのでわかります。

 

問題は、”そのときどうするか”ということです。

 

お役所が保有している情報を『公文書』といい、この公開を求めることを「公文書公開請求」といいます。

 

国民共有の財産ですから、「原則公開」とされています。

国民には、公文書の公開請求を求める権利が与えられており、お役所には「どのような合理的理由に基づいて、・・・の判断をしたのか。」について、「説明責任」を果たす義務を課しています。

 

このようにすることにより、国民が政治に参加できるようにすることでき、開かれた国政・県政等の推進を図ることを目的としているからです。

 

しかし、他人の個人情報の公開を求めたり、お役所の業務上、全て公開すると、支障が生じることも事実です。

 

そこで、

➀個人情報、②法人等情報、③公共安全等情報、④審議検討経過情報、及び⑤事務事業情報については、例外として、「非公開情報」として公文書公開請求をしても公開はされません。

 

ただし、個人情報でも『自分自身の情報』について、お役所がどのような情報を保有しているのかは気にもなるはずですし、自身の情報を知ることは特に大きな問題もないはずです。

 

そこで、お役所が保有する個人情報については、「自己を本院とする個人情報」の開示請求があった場合、これを「個人情報開示請求」として、原則開示することとされています。

 

これは、自分の知らないところで自分の個人情報を収集していたり、又、収集された個人情報が誤っていたり、不完全であったことから、自己に不利益な判断がされる可能性があるので、そのようなことがないように、本人の知らないところで収集されない権利、自己の情報を知る権利、誤認情報に基づき不利益な判断がされない利益といった「個人の権利利益の保護」を目的としているからです。

 

本人による自分の個人情報の開示請求とはいえ、一定の情報は、開示されません。

これを『不開示情報』といい、

➀法令秘情報、②法定代理人請求個人情報、③第三者の個人情報、④法人等情報、⑤公共安全等情報、⑥審議検討経過情報、及び⑦事務事業情報があります。 

 

あれ?と思われたはずです。

公文書の『非公開情報』と個人情報の『不開示情報』は、法人等情報、公共安全等情報、審議検討経過情報、及び事務事業情報は共通していますが、『非公開』と『不開示』の違いもあります。

 

もうひとつ公文書公開・個人情報開示の『適用除外』となるものがあります。

『訴訟に関する書類』は、『非公開情報』、『不開示情報』に該当しなくても公開・開示されることはありません。


行政機関の個人情報保護範囲

行政機関個人情報保護法・条例において、「保有個人情報」という概念が非常に重要となります。

つまり、行政文書・公文書といった行政機関が保有する文書に記録されている個人情報が保護の対象となります。

➀マニュアル処理ファイル+②電算処理ファイル+③散在情報=保有個人情報

です。

 

マニュアル処理ファイル(ファイル基準表登載文書)のみが保有個人情報と勘違いしている地方自治体は多いのではないでしょうか。

公用パソコン内(電磁的記録状態)にある個人情報や➀②に保存されていない個人情報も対象に含まれます。

 


国は、三権分立(行政・立法・司法)によるパワーバランスで成り立っています。

行政・立法・司法がそれぞれが公文書を保有しています。

しかし、情報公開法は、国の行政機関が保有する公文書である『行政機関保有文書』のみを適用対象としていることから、行政公文書を『行政文書』といい、議会(立法)・裁判所(司法)の保有する公文書と区別しています。

 

これに対して、自治体の制定する情報公開条例、個人情報保護条例では、条例を立法する実施機関である『議会』が含まれていることから、議会以外の実施機関と議会が保有する公文書を区別する意味がないので、従来通り『公文書』としています。

           

『非公開』一般を対象とした情報の公開に応じないことをいい、

『不開示』本人だけを対象として情報の開示に応じないことをいいます



情報の公開・開示請求を拒否できる理由


つまり、以下のいずれかに分類される理由に該当しなければなりません。

1.『訴訟に関する書類』に該当するため

2.『非公開情報』に該当するため

3.『不開示情報』に該当するため


拒否理由がなければ、公開・開示請求拒否はできません。


つまり、公開・開示を得るには、拒否理由がないことを示す必要があります。

お役所にとって不都合がない情報は、なんの問題もなく公開・開示されますが、不都合な情報の場合、いくつかの壁が現れます。

そのひとつが、「文書特定」です。

必要な程度の文書の特定がされていないことを理由に非公開・不開示にしたり、あるいは求めている情報とは外れた情報が公開・開示されたりします。

いかに「文書特定」をするかは重要なところです。

 

当事務所の情報公開サポート業務は、「必要な程度の文書特定」をし、それでも非公開・不開示処分がされれば、お役所の示した拒否理由に合理的な理由がないことを立証し、求める情報の公開・開示を達成することにあります。


Step1

文書の特定

形式上の不備(特に、文書の特定が困難)を理由とする補正対応

Step2

手続上の間違い

情報公開手続上の瑕疵への対応

Step3

拒否理由の不存在

非公開・不開示の理由に該当しないことへの対応


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